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リカーブのブレースハイト|測り方と調整手順

リカーブのブレースハイトをどこから測り、弦のねじりでどう変えるのかを図で解説。メーカー推奨範囲の確認から、音・振動・グルーピングの比較、設定を再現する記録まで整理します。

By 編集部 10 min

2026年10月1日 更新

リカーブのブレースハイト|測り方と調整手順

画像: Hannes Grobe / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.5(実物写真をトリミング・余白追加)

弦を交換したあとに弓の音が変わった。いつもの設定なのに、射った感触が落ち着かない。そんなとき、ほかの調整を始める前に記録と照らし合わせたいのがブレースハイトです。

調整の基本は、同じ位置で測り、使用する弓の推奨範囲内で弦のねじりを少しずつ変え、実射で比較すること。この記事では、サイト・レスト・プランジャーを使うターゲットリカーブを対象に、測定から設定の記録までを説明します。

道具の名称がまだ曖昧なら、先にリカーブの基本装備を確認してください。弦とリムの左右位置はセンタリング調整で扱っています。

ブレースハイトはどこから測る?

ブレースハイトは、弦を張り、引いていない状態での、弦からグリップの最も深い部分(ピボットポイント)までの距離です。Hoytの公式用語集も、この二点の間の距離として定義しています。

測る方向は弦に対して直角です。グリップの下端やハンドルの的側の面まで測った数値とは区別しましょう。プランジャー穴の位置も、ピボットポイントと同じとは限りません。使用機種の説明書に測定位置の指定があれば、それに合わせます。

弓を側面から見た測定位置の模式図。引いていない弦からグリップの最深部まで、弦に直角な距離を測る
編集部作成。ブレースハイトの測定基準を示す模式図です。特定製品の形状や寸法、Tゲージの取り付け方法を表したものではありません。

アーチェリー用のTゲージ(ボウスクエア)を使うと、弦との直角を確認しながら測れます。ゲージの説明書に従って使い、弦を横へ押したり、定規を斜めに当てたりしないようにします。一度ゲージを外して測り直し、同じ値を読めるか確かめると、測り方のばらつきに気づけます。

最初にメーカーの推奨範囲を確認する

「68インチの弓なら何cm」と弓の長さだけで決めず、ハンドルとリムの機種・長さに対応する説明書を確認します。一般的な早見表やほかの選手の数値を、自分の弓の指定値として使わないことが大切です。

Hoytなら公式マニュアル一覧から、年式と機種に合う説明書を探せます。他社製品も、それぞれのメーカーの案内を確認してください。異なるメーカーのハンドルとリムを組み合わせていて適用範囲が分からなければ、販売店に組み合わせを伝えて確認します。

作業前には、次の情報を一緒に残しておきましょう。

項目記録する内容
弓の構成ハンドル・リムの機種と長さ
メーカーの指定推奨範囲、測定位置、参照した説明書
現在の実測値mm単位のブレースハイト
使用する弦識別名、素材・ストランド数など分かる仕様
ほかの設定ティラー、ノッキングポイント、プランジャーの設定

すでに良好に使えている設定があれば、その実測値を基準にします。初期設定から始める場合、EastonのArrow Tuning and Maintenance Guideの印刷ページ4では、メーカー推奨範囲の低い側から試す方法を紹介しています。使用製品に個別の初期値や手順がある場合は、そちらを優先してください。

弦のねじりを増やすと高く、減らすと低くなる

弦のねじりによって実効的な長さを変え、ブレースハイトを調整します。Hoytの2026年版リカーブ取扱説明書の印刷ページ14にも、次の関係が示されています。

弦への操作弦の実効的な長さブレースハイト
既存のねじりを増やす短くなる高くなる
既存のねじりを減らす長くなる低くなる

「時計回り」とだけ覚えると、持つ端や見る方向が変わったときに混乱します。もともとのねじれを見て、増やしたのか、減らしたのかで記録してください。弦の製作者が指定するねじり方向・許容範囲を守り、ねじれを完全にほどいて逆向きに巻き直す操作は避けます。

Eastonは、弦を外して3〜4回ねじりを追加し、射ち直して比較する手順を示しています。ただし、3〜4回で必ず何mm変わる、という換算ではありません。調整量は弦によって異なるため、張り直したあとの実測値で管理します。

張り直すたびに確認すること

  1. 矢を外し、弓とストリンガーの説明書に従って弦を外します。弦を張ったまま無理にねじりません。
  2. 今のねじりに対して、少量だけ増減します。変更した回数を記録します。
  3. 指定の方法で弦を張り直し、上下のループがリム先端の溝に正しく収まっているか確認します。
  4. 同じ測定位置でブレースハイトを測り、推奨範囲内であることを確かめます。
  5. 測定器具を外し、装着状態を確認してから、安全な射場で実射します。

空射ちはしないでください。弦に傷やほつれがある、ループが正しく掛からないなどの異常があれば、調整を進めず点検します。

音・振動を手がかりに、まとまりも比較する

Hoytの同説明書は、滑らかな弓の動き、矢の飛び、グルーピング、射ったときの静かさを、適切なブレースハイトの判断材料に挙げています。音の印象だけでなく、矢のまとまりも一緒に比較しましょう。

ここからは、その手順を練習で比較しやすくするための編集部の提案です。回数や判定方法はメーカーの規定ではありません。

一度に変える設定は一つにする

同じ矢、同じ距離、同じ狙点で比較し、サイトやプランジャーの設定はそのままにします。ブレースハイトとバネ圧を同時に変えると、どちらが結果に影響したのか追いにくくなります。

まずは普段から確実に的へ収められる距離で確認し、無理に遠距離へ移りません。風や疲れで射ち方のばらつきが大きい日は、候補を決め切らず、記録を残して別の日に比較します。

基準のA、変更後のB、もう一度Aの順で射つ

  1. A:基準の設定で複数エンドを射ち、音・振動・着弾を記録します。
  2. B:推奨範囲内で少し変更した設定を実測し、同じ本数・条件で比較します。
  3. Aに戻して再測定し、もう一度射ちます。元の感触やまとまりが再現するかを見ます。

例えば各設定で3エンドずつ射ち、的面を撮影すれば、一度だけ良かったグループに判断を引っ張られにくくなります。これは比較方法の一例で、3エンドで必ず差を判定できるという意味ではありません。

比較するもの見るポイント
音・振動いつもと違う音や、強い振動が出ていないか
グルーピング一つの好結果だけでなく、複数エンドでまとまりが続くか
着弾の位置群全体が移動したのか、群そのものが広がったのか
再現性設定を戻したとき、同じ傾向が出るか

群全体が的の中心へ近づいただけなら、グルーピングが良くなったとは限りません。比較中は「点数が上がったか」に加え、「矢同士の散らばりが小さくなったか」を分けて見ましょう。音の録音を残すなら、録音機の位置・距離もそろえます。

決まった設定を、次の練習でも再現する

採用する値が決まったら、ねじった回数だけでなく、張った状態の実測値と、どの弦を使ったかを残します。次の練習では、ほかの調整を動かす前に、その値へ戻っているか確認できます。

記録欄は、次のように分けると振り返りやすくなります。空欄には自分の実測値を記入してください。

記録欄A:基準B:変更後A:戻して確認
ブレースハイト(mm)記入記入記入
直前の設定から増減したねじり—記入記入
実射前/後の測定値記入記入記入
音・振動・接触の有無記入記入記入
着弾写真・群のまとまり記入記入記入

ブレースハイトを変更したら、ノッキングポイントの高さも測り直します。そのうえで必要に応じてベアシャフトチューニングへ進み、上下・左右の状態を改めて確認します。複数の検査結果を見ながら何度も往復する前に、まずブレースハイトの基準を固定しておくと整理しやすくなります。

うまく調整できないとき

ねじっても推奨範囲に入らない

無理にねじりを増やし続けず、弦の適合を確認します。Eastonも、長さが合わない弦を過度なねじりで補うのではなく、適切な長さの弦を検討するよう説明しています。弓の構成、弦の仕様、現在の測定値を販売店や製作者へ伝えましょう。

静かにならない、異音が残る

ブレースハイトだけが原因とは限りません。緩んだ部品や弦・リムの装着状態、矢や羽根の接触なども確認対象です。異音を消すために推奨範囲を超えたり、ほかのネジを手当たり次第に動かしたりしないでください。

高めと低めのどちらがよいか決められない

比較で差が見えなければ、無理に「最適値」を断定する必要はありません。推奨範囲内で問題なく使える基準値を記録し、同じ条件で射つことを優先します。測り方と設定を再現できる状態にすることも、次の調整へ進むための成果です。

参考資料

資料確認日:2026年10月1日。本文は資料をもとに編集部が構成し、比較方法・記録表は独自に作成しました。メーカーの文章・図版の転載は行っていません。測定位置の図は編集部作成です。

写真の出典:冒頭はHannes Grobe撮影の「Recurve samick a-z hg.jpg」(Wikimedia Commons、CC BY-SA 2.5)です。弦を張ったSamick A to Zの実物写真から、ハンドル周辺を切り抜き、上下に余白を追加しました。加工後の写真も同じライセンスで提供します。弦とハンドルの位置関係を示す写真で、測定器具を当てた作業写真ではありません。